こんにちは、イマジカデジタルスケープの伊藤和博です。
今回は、Premiere Pro CC 2019から新機能で、「クロマノイズ除去」をご紹介します。
この機能、またはこの機能の前身となる、様々なノイズリダクション系の機能は、間接的にでももうすでにお使いかもしれませんが、今回ご紹介するこの「クロマノイズ除去」は、音に含まれる「サーッ」「ゴーッ」などのノイズを取り除く機能の一つになります。CC2019では、エッセンシャルサウンドパネルからノイズを除去にチェックを入れるだけで自動的に適用されるオーディオエフェクトになります。
ただし、この【エッセンシャルサウンドパネルからノイズを除去にチェックを入れるだけで自動的に適用されるオーディオエフェクト】というのは、Premiere Proのバージョンによって、適用されるエフェクトが異なっており、バージョンが上がることにそのエフェクトは進化してきています。今回のCC2019で使用される「クロマノイズ除去」は、簡単に、かつこれまでのエフェクトの中でも非常にきれいにノイズを取り除いてくれるため、そのあたりをご紹介したいと思います。
さっそくやってみよう!
まずは、以下の動画をご確認ください。もともと音が低い動画のため、最大ピークが0dbになるようにゲインを調子してノイズそのものを聞き取りやすくしていますが、何のエフェクトもかけていない、室内で撮影したビデオになります(約12秒。音がなります。ボリュームを中〜高程度にして再生してみてください(大音量や高い音は鳴りませんのでご安心ください))。
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スマホのタップ音と、女性の鼻歌のみで、そのほかに【サー】というノイズが全体に入っているかと思います。このビデオのオーディオクリップに対し、「クロマノイズ除去」エフェクトを、デフォルトの設定値で適用したものが以下の動画になります(約12秒。同じボリュームで聴いてみてください)。
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非常によくノイズが取れているのではないかと思いますが、このエフェクトのみを単体で適用する場合は、エフェクトパネルからタイムラインのサウンドクリップに対してただエフェクトをドロップするだけ、となります。
エフェクトをかけた直後のデフォルトでは適用量40%でクロマノイズ除去が効いていますが、調整する場合は、エフェクトコントロールパネルの適用量、またカスタムセットアップをクリックして行います。
フォーカスの処理の箇所では、特定の周波数にフォーカスを設定することが可能で、左から【すべて】【低】【中】【低と高】【高】を選択でき、量のスライダーで取り除く量を設定します。デフォルトでは、全ての周波数にフォーカス処理が設定されており、量は40%になっています。
プリセットには【軽いノイズリダクション】と【重いノイズリダクション】とがあり、これらは「軽い・・・」にすると適用量20%、「重い・・・」にすると適用量80%になります。
なお、このエフェクトを適用すると、出力信号のレベルが下がり、オリジナルのオーディオのレベルより低くなります。出力信号の量を制御するには、ゲインスライダーを使用します。ゲインのスライダは最大20dbまで調整可能です。
適用量を100%(ゲイン調整は無し)にしてレンダリングしたのが以下の動画になります。ノイズはほぼ消滅します(約12秒。同じボリュームで聴いてみてください)。
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例えば、以下のような車の騒音や風の音、雑踏音が混在している動画も・・(約11秒。同じボリュームで聴いてみてください)。
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クロマノイズ除去で全体的にノイズを抑えることで、人の声は残しつつ、以下のようにノイズを抑えることが可能になります。(約11秒。同じボリュームで聴いてみてください)。
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エッセンシャルサウンドパネルから設定
このエフェクトをエッセンシャルサウンドパネルから適用する場合は、まず、このオーディオクリップのオーディオタイプを「会話」クリップにする必要があります。
オーディオクリップを選択し、会話に割り当てた後、修復タブにある「ノイズを軽減」にチェックを入れると、結果的に「クロマノイズ除去」のエフェクトがかかった状態になります。エッセンシャルサウンドパネルから適用した場合は、適用量のデフォルトは50%でかかりますので、オーディオクリップに応じて別途調整します。
なお、会話クリップにすることで、他のオーディオタイプのクリップにダッキングを適用するとその範囲がダッキングの対象になりえるため、単にノイズを除去したいだけなのであれば、会話クリップにはせずに、エフェクトパネルから適用するといいでしょう。
ちなみに、CC 2018で、全く同様の手順で「ノイズを軽減」を行うと、「適応ノイズリダクション」というエフェクトが適用されていました。
これは、CC2019ではエフェクトパネルのオーディオエフェクト内に、「旧バージョンのエフェクト」として残っているため、CC2019でもこの適応ノイズリダクションは使用できるようにはなっています。
この適応ノイズリダクションは、バックグラウンド音声、うなり音、風の音など、変化する広帯域ノイズをすばやく除去でき、通常のノイズリダクション系のエフェクトと異なり、リアルタイムで動作するため、マルチトラックなどにも有効なエフェクトですが、オーディオの最初の数秒に基づいてリアルタイムにノイズを識別して除去するため、ただ適用しただけですと、ノイズを識別するまでの最初の数秒間はノイズが残ってしまいます。そのため、ノイズを除去した後で最初の数秒分はカットしてしまうか、別の方法で最初の数秒のノイズを取り除く必要があります。また、デュレーションやオーディオそのものにもよりますが、比較的処理に時間がかかる場合があるため、PCの性能によっては、カスタムセットアップで調整する必要があります。
同じ動画を、適応ノイズリダクションでレンダリングしたものが以下の動画になります。オーディオの最初の数秒に基づいてノイズを識別・除去するため、最初の数秒にはノイズが残るのと、最後もクロマノイズ除去とは若干違うのがわかるかと思います。(約12秒。同じボリュームで聴いてみてください)。
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ノイズリダクションのエフェクトとしてはこれまで、適応ノイズリダクションやDeNoiserなどを使用する方法があり、適用後もあれこれ手を加える必要がありましたが、体感的に、CC2019のクロマノイズ除去は、適用後の手間の部分では一番優れているのではないかと思いますので、ぜひバージョンアップがまだの方はバージョンアップして使ってみてください。
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