今週も先週に引き続き、AfterEffects CS6(以下AECS6)の新機能についてご紹介していきます。
今回は、先週のブログで少しご紹介しました、ワープスタビライザーという手ぶれ補正機能の拡張にあたる、3Dカメラトラックという機能をご紹介します。
3Dカメラトラック(3Dカメラトラッカー)とは、ビデオシーケンスを分析し、カメラモーションと 3D シーンデータを抽出する機能です。この機能を使用すると、2D オブジェクトやテキスト等を 3D シーンに効率的に組み込むことが可能になります。
まず、この3Dカメラトラックの機能を使用する場合、ドリーの映像ソースが必要になります。ドリーとは、「カメラそのものを動かすことによって撮影」することで、パン(カメラの首を振って撮影すること)の動画では、以下で説明する、トラックポイントの取得がうまくいきません。
映像の中で、カメラが近寄っていく被写体の変化をとらえ、そこにトラックポイントを設定し、そのトラックポイントにテキストやカメラを設置して、映像の変化とともに動かす、というものです。
まずは、オリジナルの動画をご覧ください。もっとまともな映像ソースがよかったのですが、ドリーの素材がなかったため、Webカメラを使って教室の中のカレンダーと電話を撮影したものです。音も何もなく、画質もフレームレートも落としてあります。
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映像ソースを通常通りタイムラインに置いた後、レイヤーを選択しておき、エフェクトメニュー→遠近→3Dカメラトラッカーを選択、またはレイヤーを右クリックし、3Dカメラトラッカーを選択します。
ワープスタビライザーと同じように、コンポジションパネルに「バックグラウンドで解析中」のテキストが表示され、ソースを解析し、解析後、映像の中で動きがあるところにトラックポイントを設定します。
複数設定されたトラックポイントの、任意の3カ所の間にマウスカーソルを入れると、その3点を結んで生成される半透明の三角形および赤いターゲットが表示され、3D 空間での平面の方向が示されます。
この後、赤いターゲットの上を起点に平面レイヤーやテキストを置くことが可能ですが、赤いターゲットの場所は、半透明の三角形の上からドラッグすることで、あらかじめ移動しておくことも可能です。
次に、赤いターゲットの上で、control+クリック、または右クリックし、「テキストとカメラを作成」を選択します。赤いターゲットの上に、3D空間の平面の方向に沿って、テキストが生成されます。この後、この「テキスト」という文字を任意に入力し直し、フォントサイズを調整します。なお、テキストを入力し直すときは、タイムラインパネルでテキストレイヤーをクリックして選択し、その後、コンポジションパネル上でテキストをダブルクリックすると、入力し直すことが可能です。
作成されたテキストは3D化されているため、タイムラインパネルからトランスフォームでXYZの向きを微調整することも可能で、シャドウを落とす、受けるなどのマテリアルオブションを設定することも可能です。
以下のムービーが、テキストの位置を移動し、書き出したものです。
AfterEffectsの文字が映像と一緒に接近してくる様子がよくわかります。
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ポイントは動画のソースですが、このブログの冒頭でもご説明した通り、ドリーの動画ソースを用意しないと3Dカメラトラックは機能しません。パンの動画ですと、一応トラックポイントは生成されますが、動いているものに対してトラックポイントが生成されないため、テキスト等が動いているようには見えませんので、必ずドリーの動画を用意して練習してみてください。
→ 【 AfterEffects CS6の新機能:その1 〜 ベクトルレイヤーからシェイプを生成・マスクの境界のぼかしツール 〜 】