このトレーニングは「文字」に関する総合的なスキルを学習するトレーニングです。トレーニングにはAdobe Illustrator、Adobe InDesignを使用しますが、このトレーニングで学習した内容は、他のアプリケーションでも使うことが可能です。
主に、文字に関する以下のことを学習します。
- 文字単位の意味
- 文字空きの単位と意味
- 文字サイズの決め方
- 文字の種類
- 記号・約物の種類・読み方・意味・強弱
- 禁則と段組禁則(縦組・横組)
- 文字組ルールの使い方
- 文字詰め(和文・欧文)の仕方と、詰める理由
- 字間・行間・段間の取り方と、その距離を空ける理由
- かなの活用方法
- 和・欧混合文のルール
- 縦組独自のルール
- 書体の選び方
- ルビの振り方とルール
- 校正
- フォントフォーマットについて
- Adobe Creative Cloudのテキストエンジン
- 合成フォント
- レガシーテキストの処理
等。文字に関する総合的な力をつけ、「決められた紙面にどのように文字を配置するか?」について、また、IllustratorやInDesign上でのテキストはどのようなシステムで割り当てられるか、を理解し、読みやすく、美しい文字組版ができるようになるトレーニングです。
●全般
子供の頃、童話など縦組みの本を読んだ際、今読んだ行と同じ行をもう一度読んでしまった経験はありませんか?
大人は、行頭を周辺視野で捉えながら行末まで読みすすめることで、次の行に視線が移動するため、スムーズにを読みすすめることができます。子供にはそれができないため、今自分が読んでいる行を指でなぞりながら本を読むことで、同じ行を2度読まないようにします。これは、単に子供にとってはその本の行長が長すぎるということになるわけです。
日本語での文字組版とは、ひらがな、カタカナ、漢字、記号・約物などの文字キャラクタを、読みやすく配列するための処理のことで、主に紙媒体にアウトプットする際に重要な概念になってきますが、このトレーニングで学習する内容はWebページ内でも活用することが可能です。
このトレーニングでは、便宜上IllustratorとInDesignを使用しますが、このトレーニングで学習できる内容は、Wordやテキストエディタなど、他のアプリケーションでも考え方は同じですので、IllustratorやInDesignの経験は無くても、他のアプリケーションの機能で学習した内容を実現することができます。
●Web業界
p、pre、h1など、様々な要素を使用してテキストをマークアップしても、ユーザー側がブラウザの文字サイズを変更すると文字の組みも変わってしまうことを懸念すると、それほど文字組版には神経質になることはない、というのが本当のところかと思いますが、CSSでテキストのデザインを固定して読んでいただきたい箇所などには文字組版の要素を加えてあげると、より美しいページができあがるかと思います。
このトレーニングで学習した内容は、以下の目的で使用することが可能です。
- font-sizeに応じて、line-heightはどのくらいの値を指定すると読みやすいのか?
- div要素などで段落を作成する際、widthはどのくらいに設定するといいのか?
- div要素などで段落を作成する際、段間としてどのくらいのmargin、paddingを設定するといいのか?
- text-alignは、leftがいいのか、justifyがいいのか。その理由はなぜか?
●DTP業界
文字組版と一言で言っても、見出しやタイトルの組み、本文組版など、さまざまな個所で文字組版は要求されますが、DTP業界の場合にはこの文字組版スキルがあるのと無いのとでは紙面の仕上がりが異なってくるかと思います。
文字サイズの指定、1行内の文字数、段間の空け方、行間の取り方、などには全てその値を設定するための理由と公式があり、その公式に基づいて各サイズを設定していきます。この概念を紙面に入れないと段間はだいたい5mmくらい空けておけばいいか・・というような紙面設計になり、最終的に1文字収まらなくなったから、文字を詰めてこの行に収めるまたは、1行入りきらなくなったため、行間を詰めて紙面に収めるというような後付けの方法で紙面作成することになってしまいます。
文字詰めとは、文字が収まりきらなくなったため詰めるのではなく、ある効果を演出するために詰めるのです。
このトレーニングでは、なぜ文字を詰めるか?なぜ文字を空けて組むのか?空けるとどうなるのか?その空きは、なぜその距離なのか?というリテラシーも習得します。
このトレーニングで学習した内容は、以下の目的で使用することが可能です。
- 読者対象に応じた紙面設計の順番
- 記号・約物の意味や、強弱、使い方、正式名称や呼称
- アプリケーションでの行揃え(左揃え、均等揃えなど)の意味
- 版面の占有率を考慮した、紙面設計
- 行間、段間、天地ノド小口、などの各空きの設定とその空きの距離を取る意味
- 見出し、本文、キャプションなど各要素に応じた文字組版
このトレーニングでは、アプリケーションにとらわれない文字の知識習得が可能です。文字の組み方を学習すると、アプリケーションが違っても、きれいな文字組版を行うことができます。例えば、
行を詰める際に 「、」と「。」のそれぞれに空きがある場合、どちらを詰めるか? 1行の中に、アルファベット、漢字、ひらがななどが混在する場合、まずどの部分から詰めていくか?
というようなことを学習します。この他、約物の使い方、名称、意味や、ルビ、かなの活用などを習得します。文字組版を行うにあたって、IllustratorとInDesignを使用しますが、これらのアプリケーションは同じテキストエンジンを搭載しているため、いずれかのオペレーションを習得すると、両方のアプリケーションで同じ操作が可能です。このトレーニングでぜひ文字に関する理解度を深め、アプリケーションに依存しない知識を習得してください。